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パンフォーカス撮影とは (By キンタロウ)



写真撮影においては主要被写体にピンポイントでフォーカスを合わせて撮影するのが普通ですね。特に大口径の明るいレンズでは絞りを開いて背景をボカし、メインの被写体を背景から浮き上がらせることができます。

でも風景写真などでは近距離〜遠距離(∞)の範囲すべてにピントを合わせたい事もありますし、スナップ写真などを撮る場合でも、AF(オートフォーカス)に頼らず目測で撮影したいケースもあります。

このような場合、例えばNikon D70で28mmレンズを使用して絞りをF3.6以上(F4など)にセットし、レンズの距離リングを10mにしておけば、5m〜∞の範囲をくっきり写すことができるのです。

過焦点距離と被写界深度

上の絵では、10mの距離にある家にピントを合せておけば、5mの位置にある鉢から山まで全てにピントが合います。
このように近距離〜遠距離(∞)の範囲すべてにピントを合わせた撮影を「パンフォーカス撮影」といいます。

ここでは、カメラと使用するレンズ(の焦点距離)を指定すれば、各絞り値に対応したパンフォーカス撮影の為の設定距離(過焦点距離)を計算することができます。また、携帯電話の電卓機能を使って撮影現場で過焦点距離を計算することも可能です。

1.パンフォーカス撮影の為の設定距離(過焦点距離)計算
2.携帯電話の電卓機能を使ったパンフォーカス撮影距離(過焦点距離)の計算方法
3. 被写界深度と過焦点距離の解説
● 被写界深度とは
● 被写界深度の基本特性
● 被写界深度の計算式
● 許容錯乱円径とは
  ● 各種カメラの素子サイズ/許容錯乱円径
● 過焦点距離とは
● 過焦点距離の計算式
● パンフォーカス撮影




更新履歴
08/04/26 カメラの種類追加、電卓計算時のマジックナンバー説明追加
05/03/10 新規公開





1.パンフォーカス撮影の為の設定距離(過焦点距離)計算

    (1)使用するカメラを選択します。
    (2)使用するレンズを選択します。(最大10本まで)
    (3)「計算開始」ボタンをクリックします。

パンフォーカス撮影距離(過焦点距離)計算の設定
使用するカメラの選択 (撮像素子サイズ: 36.0×24.0mm)
フィルムカメラ ニコン キヤノン ペンタックス オリンパス コニカミノルタ/ソニー
35mm(135)判 D3 EOS-1Ds MarkU/MarkV *ist D フォーサーズ
(E-1/E-3/E-500/E-330/E-510/E-420/E-410)
α-7 DIGITAL
6×4.5判 D2H/D2Hs EOS 5D K100D/K10D/K200D) α-700
6×6判 D40x/D60/D80/D200 EOS-1D MarkU/MarkUN K20D α-350
6×7判 D1/D100/D70(s)/D40/D50 EOS-1D MarkV α-200/α-100
6×8判 D2X/D2Xs EOS 20D/30D
6×9判 EOS Kissデジタル
EOS KissデジタルN/X/X2
EOS 40D
使用するレンズの焦点距離選択(最大10本まで)
8mm 11mm 12mm 14mm 15mm 16mm 17mm 18mm 19mm 20mm
24mm 28mm 30mm 35mm 40mm 45mm 50mm 55mm 60mm 70mm
75mm 85mm 90mm 100mm 105mm 120mm 125mm 135mm 150mm 170mm
180mm 200mm 210mm 300mm 400mm 500mm 600mm 800mm 1000mm






2.携帯電話の電卓機能を使ったパンフォーカス撮影距離(過焦点距離)の計算方法

     携帯電話の電卓機能を使えば、パンフォーカス撮影距離設定表を持ち歩かなくても撮影現場で計算できます。
具体的な使用例としては、「28mmレンズで距離5mから無限大までを被写界深度に入れたい場合に絞りをいくつにすればよいか」が計算できます。


      例1) 35mm(135)判カメラで、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする?

      例2) Nikon D70で、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする?



< 計算式 >
 絞り値 = 焦点距離(mm) × 焦点距離(mm) ÷ 手前側被写体距離(m) ÷ マジックナンバー
      ・焦点距離 = 撮影に使用するレンズの焦点距離(例の場合は28)
      ・手前側被写体距離 = 被写界深度に入れたい手前側被写体までの距離 (例の場合は5)
      ・マジックナンバー = 各カメラ固有の数値 (許容錯乱円径により相違。各カメラの値はこちらを参照)
 
< 上記例の計算方法 >
        以下の計算式を電卓に入力します。
 
    35mm判:   28(mm) × 28(mm) ÷ 5(m) ÷ 66.56   (66.56 = 35mm判のマジックナンバー)
Nikon D70:   28(mm) × 28(mm) ÷ 5(m) ÷ 43.66   (43.66 = Nikon D70のマジックナンバー)


          --> 計算結果の絞り値をセットし、ピントは手前側被写体距離(m)×2倍の位置に合わせます。


    例1) 35mm(135)判フィルムカメラで、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする?
          28 × 28 ÷ 5 ÷ 66.56 = 2.4 ( = 絞り値 )

          この場合、絞り値をF2.4以上(F2.8など)にセットし、ピントを10m(5m×2)に合わせれば、5m〜∞の範囲に焦点を合わせられます。



    例2) Nikon D70で、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする?
          28 × 28 ÷ 5 ÷ 43.66 = 3.6 ( = 絞り値 )

          この場合、絞り値をF3.6以上(F4など)にセットし、ピントを10m(5m×2)に合わせれば、5m〜∞の範囲に焦点を合わせられます。




3. 被写界深度と過焦点距離の解説


  ● 被写界深度とは

     撮影時に被写体のある一点にピントを合わせた場合でも、実際にはその前後にもピントが合ったように見えますが、この鮮明な映像として撮影できる範囲を被写界深度といい、この範囲はレンズの焦点距離や絞り値、撮影距離によって変化します。


  ● 被写界深度の基本特性

    
    深い < 被写界深度 > 浅い  
焦点距離   短かい <----------> 長い  焦点距離が短かいほど深く、長いほど浅い。
絞り   絞る <------------> 開ける  絞りを絞り込むほど深く、開くほど浅い。
撮影距離   遠い <------------> 近い  撮影距離が遠いほど深く、近いほど浅い。
焦点位置   後側 <------------> 前側  焦点を合わせた位置の前側は浅く、後側は深い。


  ● 被写界深度の計算式

       被写界深度 = 前方被写界深度 + 後方被写界深度
  前方被写界深度 = ( 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離2 ) /  ( 焦点距離2 + 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離 )
  後方被写界深度 = ( 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離2 ) /  ( 焦点距離2 − 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離 )

        ・ 焦点距離 :    mm単位
        ・ 被写体距離 : mm単位
        ・ 許容錯乱円径 =フィルムや撮像素子の対角線長さ/許容錯乱円径用の定数 (1300)
                 (35mm版: 0.03328 、 D70: 0.02183、 EOS Kiss: 0.02097、 *istD: 0.02174、 E-1: 0.01731)
        ・ 前方被写界深度 : ピントを合わせた点より手前側でピントが合って見える範囲
        ・ 後方被写界深度 : ピントを合わせた点より遠方側でピントが合って見える範囲


    例1) 35mm版カメラで焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8、10m(10000mm)の距離にある被写体を撮影。

             前方被写界深度 = (0.03328 * 2.8 * 100002) / (502 + 0.03328 * 2.8 * 10000) = 2715.3(mm)
             後方被写界深度 = (0.03328 * 2.8 * 100002) / (502 - 0.03328 * 2.8 * 10000) = 5942.3(mm)

             被写界深度 = 2715.3+5942.3 = 8657.6(mm) = 8.7m

             ピントの合う範囲:
                  前方 = 10000(mm) - 2715.3(mm) =  7284.7(mm) =  7.28(m)
                  後方 = 10000(mm) + 5942.3(mm) = 15942.3(mm) = 15.94(m)

             結果として、7.28m〜15.94mの範囲でピントが合います。

    例2) Nikon D70で焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8、10m(10000mm)の距離にある被写体を撮影。

             前方被写界深度 = (0.02183 * 2.8 * 100002) / (502 + 0.02183 * 2.8 * 10000) = 1964.6(mm)
             後方被写界深度 = (0.02183 * 2.8 * 100002) / (502 - 0.02183 * 2.8 * 10000) = 3236.2(mm)

             被写界深度 = 1964.6+3236.2 = 5200.8(mm) = 5.2m

             ピントの合う範囲:
                  前方 = 10000(mm) - 1964.6(mm) =  8035.4(mm) =  8.04(m)
                  後方 = 10000(mm) + 3236.2(mm) = 13236.2(mm) = 13.24(m)

             結果として、8.04m〜13.24mの範囲でピントが合います。



  ● 許容錯乱円径とは

     撮影した画像をプリントし、ある距離から観察した時にピント位置以外の「ボケた点(錯乱円)」も、ある許容量以内であれば人の目にはピントが合ったように見えます(被写界深度内)が、このボケの許容量を許容錯乱円径といいます。
言い換えれば被写界深度の範囲は許容錯乱円径の大きさによって変化します。

    許容錯乱円径 =フィルムや撮像素子の対角線長さ/許容錯乱円径用の定数 (1300)



       
カメラ フィルム/撮像素子
サイズ
撮像素子対角線長 許容錯乱円径 過焦点距離計算用
マジックナンバー
35mm判 36×24mm 43.27mm 0.03328mm 66.56
6×4.5判 60×45mm 75mm 0.05769mm 115.38
6×6判 60×60mm 84.8mm 0.06523mm 130.46
6×7判 60×70mm 92mm 0.07077mm 141.54
6×8判 60×80mm 100mm 0.07692mm 153.84
6×9判 60×90mm 108mm 0.08308mm 166.16
Nikon D3(FX) 36.0×23.9mm 43.21mm 0.03324mm 66.48
Nikon D2X/D2Xs 23.7×15.7mm 28.43mm 0.02187mm 43.74
Nikon D1シリーズ/D100/D70(s)/D40/D50 23.7×15.6mm 28.37mm 0.02183mm 43.66
Nikon D40x/D60/D80/D200 23.6×15.8mm 28.4mm 0.02185mm 43.70
Nikon D2H/D2Hs 23.3×15.5mm 27.98mm 0.02152mm 43.04
EOS-1Ds MarkU/MarkV 36.0×24.0mm 43.27mm 0.03328mm 66.56
EOS-1D MarkU/MarkUN 28.7×19.1mm 34.47mm 0.02652mm 53.04
EOS-1D MarkV 28.1×18.7mm 33.75mm 0.02596mm 51.92
EOS 5D 35.8×23.9mm 43.04mm 0.03311mm 66.22
EOS 20D/30D 22.5×15.0mm 27.04mm 0.02080mm 41.6
EOS Kissデジタル 22.7×15.1mm 27.26mm 0.02097mm 41.94
EOS KissデジタルN/X/X2 22.2×14.8mm 26.68mm 0.02052mm 41.04
EOS 40D 22.2×14.8mm 26.68mm 0.02052mm 41.04
*ist D 23.5×15.7mm 28.26mm 0.02174mm 43.48
K100D/K10D/K200D 23.5×15.7mm 28.26mm 0.02174mm 43.48
K20D 23.4×15.6mm 28.12mm 0.02163mm 43.26
OLYMPUS フォーサーズ 17.3×13.0mm 21.64mm 0.01665mm 32
α-7 DIGITAL 23.5×15.7mm 28.26mm 0.02174mm 43.48
α-700 23.5×15.6mm 28.21mm 0.02170mm 43.4
α-350 23.5×15.7mm 28.26mm 0.02174mm 43.48
α-200/100 23.6×15.8mm 28.40mm 0.02185mm 43.7

詳しくはこのサイトを参照ください。


  ● 過焦点距離とは

     前述の被写界深度を利用すると、適切な焦点距離と絞り値を選択すれば、ある撮影距離からその後方すべてにピントが合うように撮影できますが、この撮影距離を過焦点距離といいます。ピントを過焦点距離に合わせると、過焦点距離の1/2〜無限大まで焦点が合います。

          過焦点距離と被写界深度


  ● 過焦点距離の計算式

     (a) 過焦点距離 = (焦点距離)2/(絞り値 * 許容錯乱円径)
(b) 後方深度 = (過焦点距離 * 撮影距離) / (過焦点距離 - 撮影距離)
(c) 前方深度 = (過焦点距離 * 撮影距離) / (過焦点距離 + 撮影距離)

       許容錯乱円径 =フィルムや撮像素子の対角線長さ/許容錯乱円径用の定数 (1300)
                 (35mm版: 0.03328 、 D70: 0.02183、 EOS Kiss: 0.02097、 *istD: 0.02174、 E-1: 0.01731)

    例1) 35mm判カメラで焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8で撮影。
             過焦点距離 = (50)2/(2.8 * 0.03328) = 26828.6 = 26.8m
後方深度 = 撮影距離を過焦点距離に合わせた場合 = 無限大
前方深度 = 撮影距離を過焦点距離に合わせた場合 = 過焦点距離 / 2 = 26.8m / 2 = 13.4m

            ---->  結果として、ピントを過焦点距離である26.8mに合わせた場合、その半分の13.4m〜無限大の範囲でピントが合います。


    例2) Nikon D70で焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8で撮影。
             過焦点距離 = (50)2/(2.8 * 0.02183) = 40900.46 = 40.9m
後方深度 = 撮影距離を過焦点距離に合わせた場合 = 無限大
前方深度 = 撮影距離を過焦点距離に合わせた場合 = 過焦点距離 / 2 = 40.9m / 2 ≒ 20.5m

            ---->  結果として、ピントを過焦点距離である40.9mに合わせた場合、その半分の20.5m〜無限大の範囲でピントが合います。

  ● パンフォーカス撮影

     上記過焦点距離の計算式の(b)(c)において、撮影距離=過焦点距離とした場合、前方深度は撮影距離(過焦点距離)の1/2、後方深度は無限大となります。つまり、撮影距離の2分の1〜∞までピントを合わせることができ、これをパンフォーカス撮影といいます。




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