写真撮影においては主要被写体にピンポイントでフォーカスを合わせて撮影するのが普通ですね。特に大口径の明るいレンズでは絞りを開いて背景をボカし、メインの被写体を背景から浮き上がらせることができます。
でも風景写真などでは近距離〜遠距離(∞)の範囲すべてにピントを合わせたい事もありますし、スナップ写真などを撮る場合でも、AF(オートフォーカス)に頼らず目測で撮影したいケースもあります。
このような場合、例えばNikon D5600で28mmレンズを使用して絞りをF3.6以上(F4など)にセットし、レンズの距離リングを10mにしておけば、5m〜∞の範囲をくっきり写すことができるのです。

上の絵では、10mの距離にある家にピントを合せておけば、5mの位置にある鉢から山まで全てにピントが合います。
このように近距離〜遠距離(∞)の範囲すべてにピントを合わせた撮影を「パンフォーカス撮影」といいます。
ここでは、カメラと使用するレンズ(の焦点距離)を指定すれば、各絞り値に対応したパンフォーカス撮影の為の設定距離(過焦点距離)を計算することができます。また、携帯電話の電卓機能を使って撮影現場で過焦点距離を計算することも可能です。
| 1.パンフォーカス撮影の為の設定距離(過焦点距離)計算 | ||||||||||
| 2.携帯電話の電卓機能を使ったパンフォーカス撮影距離(過焦点距離)の計算方法 | ||||||||||
| 3. 被写界深度と過焦点距離の解説 | ||||||||||
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| 19/04/19 カメラの種類追加、カメラの選択方法変更 |
| 08/04/26 カメラの種類追加、電卓計算時のマジックナンバー説明追加 |
| 05/03/10 新規公開 |
1.パンフォーカス撮影の為の設定距離(過焦点距離)計算
以下で、使用するカメラとレンズ(最大10本まで)を選択すると計算結果が表示されます。
注)以下の画面で使用するカメラの選択ができない(表示されない)場合は、Javascriptを有効にして下さい。
2.携帯電話の電卓機能を使ったパンフォーカス撮影距離(過焦点距離)の計算方法
| 携帯電話の電卓機能を使えば、パンフォーカス撮影距離設定表を持ち歩かなくても撮影現場で計算できます。 具体的な使用例としては、「28mmレンズで距離5mから無限大までを被写界深度に入れたい場合に絞りをいくつにすればよいか」が計算できます。 例1) 35mm(135)判カメラで、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする? 例2) Nikon D5600で、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする?
--> 計算結果の絞り値をセットし、ピントは手前側被写体距離(m)×2倍の位置に合わせます。 例1) 35mm(135)判フィルムカメラで、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする? 28 × 28 ÷ 5 ÷ 66.6 = 2.4 ( = 絞り値 ) この場合、絞り値をF2.4以上(F2.8など)にセットし、ピントを10m(5m×2)に合わせれば、5m〜∞の範囲に焦点を合わせられます。 例2) Nikon D5600で、28mmレンズを使用し、5m〜∞の範囲を撮影するには、F値をいくつにする? 28 × 28 ÷ 5 ÷ 43.4 = 3.6 ( = 絞り値 ) この場合、絞り値をF3.6以上(F4など)にセットし、ピントを10m(5m×2)に合わせれば、5m〜∞の範囲に焦点を合わせられます。 |
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| 撮影時に被写体のある一点にピントを合わせた場合でも、実際にはその前後にもピントが合ったように見えますが、この鮮明な映像として撮影できる範囲を被写界深度といい、この範囲はレンズの焦点距離や絞り値、撮影距離によって変化します。 |
● 被写界深度の基本特性
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● 被写界深度の計算式
| 被写界深度 = 前方被写界深度 + 後方被写界深度 前方被写界深度 = ( 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離2 ) / ( 焦点距離2 + 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離 ) 後方被写界深度 = ( 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離2 ) / ( 焦点距離2 − 許容錯乱円径 * Fナンバー * 被写体距離 ) ・ 焦点距離 : mm単位 ・ 被写体距離 : mm単位 ・ 許容錯乱円径 =フィルムや撮像素子の対角線長さ/許容錯乱円径用の定数 (1300) (35mm版: 0.03328 、 D5600: 0.0217、 EOS Kiss X90: 0.02063、 α6300: 0.0217、 OM-Dシリーズ: 0.01671) ・ 前方被写界深度 : ピントを合わせた点より手前側でピントが合って見える範囲 ・ 後方被写界深度 : ピントを合わせた点より遠方側でピントが合って見える範囲 例1) 35mm版カメラで焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8、10m(10000mm)の距離にある被写体を撮影。 前方被写界深度 = (0.03328 * 2.8 * 100002) / (502 + 0.03328 * 2.8 * 10000) = 2715.3(mm) 後方被写界深度 = (0.03328 * 2.8 * 100002) / (502 − 0.03328 * 2.8 * 10000) = 5942.3(mm) 被写界深度 = 2715.3+5942.3 = 8657.6(mm) = 8.7m ピントの合う範囲: 前方 = 10000(mm) - 2715.3(mm) = 7284.7(mm) = 7.28(m) 後方 = 10000(mm) + 5942.3(mm) = 15942.3(mm) = 15.94(m) 結果として、7.28m〜15.94mの範囲でピントが合います。 例2) Nikon D5600で焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8、10m(10000mm)の距離にある被写体を撮影。 前方被写界深度 = (0.0217 * 2.8 * 100002) / (502 + 0.0217 * 2.8 * 10000) = 1955.2(mm) 後方被写界深度 = (0.0217 * 2.8 * 100002) / (502 − 0.0217 * 2.8 * 10000) = 3210.7(mm) 被写界深度 = 1955.2+3210.7 = 5165.9(mm) = 5.2m ピントの合う範囲: 前方 = 10000(mm) - 1955.2(mm) = 8044.8(mm) = 8.04(m) 後方 = 10000(mm) + 3210.7(mm) = 13210.7(mm) = 13.21(m) 結果として、8.04m〜13.21mの範囲でピントが合います。 |
| 撮影した画像をプリントし、ある距離から観察した時にピント位置以外の「ボケた点(錯乱円)」も、ある許容量以内であれば人の目にはピントが合ったように見えます(被写界深度内)が、このボケの許容量を許容錯乱円径といいます。 言い換えれば被写界深度の範囲は許容錯乱円径の大きさによって変化します。 許容錯乱円径 =フィルムや撮像素子の対角線長さ/許容錯乱円径用の定数 (1300) 詳しくはこのサイトを参照ください。 |
● 過焦点距離とは
前述の被写界深度を利用すると、適切な焦点距離と絞り値を選択すれば、ある撮影距離からその後方すべてにピントが合うように撮影できますが、この撮影距離を過焦点距離といいます。ピントを過焦点距離に合わせると、過焦点距離の1/2〜無限大まで焦点が合います。
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● 過焦点距離の計算式
| (a) 過焦点距離 = (焦点距離)2/(絞り値 * 許容錯乱円径) (b) 後方深度 = (過焦点距離 * 撮影距離) / (過焦点距離 − 撮影距離) (c) 前方深度 = (過焦点距離 * 撮影距離) / (過焦点距離 + 撮影距離) 許容錯乱円径 =フィルムや撮像素子の対角線長さ/許容錯乱円径用の定数 (1300) (35mm版: 0.03328 、 D70: 0.02183、 EOS Kiss: 0.02097、 *istD: 0.02174、 E-1: 0.01731) 例1) 35mm判カメラで焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8で撮影。
----> 結果として、ピントを過焦点距離である26.8mに合わせた場合、その半分の13.4m〜無限大の範囲でピントが合います。 例2) NikonD5600で焦点距離50mmのレンズを使用、F値を2.8で撮影。
----> 結果として、ピントを過焦点距離である41.1mに合わせた場合、その半分の20.5m〜無限大の範囲でピントが合います。 |
● パンフォーカス撮影
| 上記過焦点距離の計算式の(b)(c)において、撮影距離=過焦点距離とした場合、前方深度は撮影距離(過焦点距離)の1/2、後方深度は無限大となります。つまり、撮影距離の2分の1〜∞までピントを合わせることができ、これをパンフォーカス撮影といいます。 |
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